「デグーの赤ちゃんって、ママだけが育てているの?」
そう思っている方も多いかもしれません。
哺乳類では、母親が子育ての中心になる種類が多く見られます。しかしデグーは、母親だけでなく父親も赤ちゃんのお世話に関わる「両親育児」を行う動物として研究されています。
実際に、デグーの父親は赤ちゃんに寄り添ったり、体を舐めたり、遊び相手になったりすることが確認されています。
今回は、そんな「パパデグーの子育て」についてご紹介します。
デグーの父親は赤ちゃんのお世話に参加する
デグーの親子関係を観察した研究では、父親も子どもとの接触に積極的に関わっていることが分かっています。
確認されている行動には、
赤ちゃんに体を寄せる「ハドリング」
赤ちゃんの体を舐めたりグルーミングする
赤ちゃんと遊ぶ
離れた赤ちゃんを戻すような行動
などがあります。
つまりデグーの父親は、ただ近くにいるだけではありません。
赤ちゃんに触れたり、一緒に行動したりしながら、日常的に親子の関係を作っています。
研究によっては、生後間もない時期の親子間の関わりのうち、父親によるケアが全体の約4割近くを占めていたという報告もあります。
父親との触れ合いは「刺激」のひとつ
赤ちゃんにとって、親に舐めてもらったり、体を寄せてもらったり、一緒に遊んでもらったりすることは、単なる「お世話」だけではありません。
体への触覚刺激や社会的なやり取りは、成長途中の脳にとって大切な環境刺激のひとつです。
デグーでは、父親と一緒に育った子と、父親のいない環境で育った子を比較した研究も行われています。
その結果、父親がいない環境で育ったデグーでは、前頭前野をはじめとする脳の一部で、神経細胞の枝分かれやシナプス形成に違いが見られることが報告されています。
「父親がいない=必ず問題が起きる」ではない
ここで注意したいのは、
「父親がいないデグーは正常に育たない」
という意味ではないということです。
研究では父親の有無によって脳の発達過程に違いが見られていますが、その影響は脳の部位や年齢によって異なります。
若い時期には差が見られても、大人になるにつれて差が小さくなる部分もあります。
一方で、成長後まで違いが残る部位が報告された研究もあります。
つまり、父親から受ける社会的な刺激が発達に関係している可能性は高いものの、その影響は単純に「父親がいれば良い、いなければ悪い」と分けられるものではありません。
ママがその分たくさんお世話する?
では父親がいない場合、母親がその分たくさん赤ちゃんのお世話をするのでしょうか。
デグーを対象とした研究では、父親がいない環境でも、母親が育児行動を大幅に増やして父親の分を完全に補うような変化は確認されませんでした。
これは、母親と父親では、赤ちゃんに与える社会的な刺激の量や種類が異なる可能性を示しています。
ただし、これを「母親には父親の代わりが絶対にできない」と強く言い切ることもできません。
デグーの成長には、親との触れ合いだけでなく、兄弟やほかの仲間との関係、生活環境、ストレスの少なさなど、さまざまな要素が関係しています。
デグーは家族との関わりの中で育つ動物
デグーのおもしろいところは、赤ちゃんが母親だけとの関係で育つわけではないことです。
父親が寄り添う。
体を舐める。
一緒に遊ぶ。
兄弟同士で触れ合う。
こうした家族との毎日のやり取りの中で、赤ちゃんは成長していきます。
デグーの父親は「近くにいるだけの存在」ではなく、実際に子どもと関わり、育児行動を見せる動物です。
そしてその関わりが、成長期の脳や社会的な発達に影響している可能性が研究から示されています。
小さな体の中で、家族同士が関わりながら子育てをしている。
そう考えると、普段何気なく見ている親子のやり取りも、少し違って見えてくるかもしれません。
※父親の育児参加が研究されているからといって、繁殖後のオスを必ず同居させることが安全という意味ではありません。個体同士の相性や母親の状態、再交尾・連続妊娠など飼育上のリスクもあります。実際の繁殖管理では、それぞれの個体の状態に合わせて慎重に判断してください。