「ずっと一緒にいた子がいなくなってから、なんだか元気がない」
「いつも一緒に寝ていた相手がいなくなって、以前より静かになった気がする」
多頭飼いをしていると、仲間との別れをきっかけに、残されたデグーの様子が変わったように感じることがあります。
私たち人間から見ると、「仲間がいなくなって寂しいのかな」「悲しんでいるのかな」と考えてしまいますよね。
では、本当にデグーは仲間との別れに影響を受けるのでしょうか?
デグーは非常に社会性の高い動物として知られており、研究でも仲間との社会的なつながりや、分離されたときのストレス反応について調べられています。
今回は、デグーにとって「仲間がいること」がどれほど重要なのかについてご紹介します。
デグーは仲間との強いつながりを作る動物
デグーは野生でも仲間と関わりながら生活する社会性の高い動物です。
一緒に休んだり、グルーミングをしたり、鳴き声でコミュニケーションをとったりと、日常の多くの場面でほかの個体と関わっています。
研究においても、デグーは社会的な愛着や分離によるストレスを研究する動物として注目されています。
特に幼いデグーでは、母親や家族から離されたときに鳴き声が増えたり、離された相手を求めるような行動が見られることが報告されています。
つまりデグーにとって仲間は、単に「同じ場所に住んでいる相手」ではありません。
普段から関わり続けることで、その個体との社会的な関係が作られていくと考えられています。
仲間と離れることで行動が変化することも
デグーを対象とした研究では、社会的な分離や長期間の単独環境によって、行動だけではなく脳機能にも変化が生じることが報告されています。
社会的な環境が変化すると、新しい場所での行動や活動性、学習・記憶に関係する機能などに影響が見られることがあります。
そのため、長く一緒に生活していた仲間が突然いなくなることは、デグーにとって決して小さな環境変化とは限りません。
家庭で飼育されているデグーでも、仲間がいなくなったあとに、
以前より静かになったように感じる。
鳴き方や鳴く回数が変わる。
仲間がいた場所を気にする。
活動量が変化する。
食欲がいつもと違う。
といった様子に飼い主さんが気付くことがあります。
ただし、これらすべてを「悲しんでいるから」と決めつけることはできません。
環境の変化によるストレスや生活リズムの変化など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
「人間と同じ悲しみ」とはまだ言い切れない
仲間との別れによってデグーの行動が変わったとき、私たちはつい「悲しいんだ」と考えたくなります。
実際、デグーが強い社会的なつながりを形成し、分離に対してストレス反応を示すことは研究されています。
しかし現在の研究から、
「デグーが人間とまったく同じ意味で死を理解し、悲しみを感じている」
と断定することはできません。
動物自身に「どんな気持ちなの?」と聞くことはできないため、研究では行動や鳴き声、ホルモン、脳活動などから状態を推測します。
それでも、仲間との社会的なつながりが失われることでデグーの状態に変化が生じる可能性があることは、この動物を飼育するうえで知っておきたいポイントです。
デグーの脳も社会的な環境の影響を受ける
デグーの社会性がおもしろいのは、仲間との関係が行動だけの問題ではないことです。
研究では、社会的な隔離を経験したデグーで、脳の活動や学習・記憶に関係する機能に変化が見られることも報告されています。
また、哺乳類の社会的な愛着には、オキシトシンやバソプレシンをはじめとした複数の神経・ホルモン系が関係すると考えられています。
ただし、
「仲間が亡くなることでオキシトシンやバソプレシンが減り、それがデグーの悲しみを起こす」
という単純な仕組みがデグーで証明されているわけではありません。
社会的なつながりは非常に複雑で、一つのホルモンだけで説明できるものではないのです。
仲間を失った直後に新しい子を迎えたほうがいい?
一匹になってしまったデグーを見ると、
「寂しそうだから、できるだけ早く新しい子を迎えてあげたほうがいいのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、新しいデグーを迎えること自体も大きな環境変化です。
デグーにはそれぞれ性格や相性があり、新しい個体だからといってすぐに仲良くなれるとは限りません。
そのため、仲間を失った直後に慌てて新しい個体と同居させるのではなく、まずは残されたデグーの様子をよく観察することが大切です。
食事をしているか。
水を飲んでいるか。
体重が減っていないか。
排泄に変化はないか。
普段通り動いているか。
こうした基本的な体調確認を続けながら、その子に合わせて今後の飼育環境を考えてあげましょう。
新しいデグーを迎える場合も、いきなり同じケージに入れるのではなく、相性を確認しながら慎重に距離を縮める必要があります。
仲間との関係もデグーの生活の一部
デグーは、一匹一匹が独立して生活しているだけの動物ではありません。
一緒に眠る。
グルーミングをする。
鳴き声を交わす。
近くにいる。
相手の行動に反応する。
私たちからすると何気ない毎日でも、デグーにとってはこうした仲間とのやり取りそのものが生活環境の一部になっています。
だからこそ、長く一緒にいた仲間が突然いなくなれば、それまでとは違った行動を見せても不思議ではありません。
その変化をすぐに人間と同じ「悲しみ」と決めつける必要はありませんが、
「小動物だから仲間がいなくなっても気にしない」
とも考えないほうがよいでしょう。
デグーは周囲の仲間と関係を築きながら暮らす、とても社会的な動物です。
もし一緒に暮らしていたデグーとの別れがあったときは、残された子の様子をいつも以上によく見てあげてください。
普段と違う行動も、その子なりに大きな環境の変化へ対応している途中なのかもしれません。
※仲間を失ったあとに食欲低下や体重減少、活動量の著しい低下などが見られた場合、「寂しさが原因」と決めつけないことが大切です。デグーは体調不良でも同様の変化を示す可能性があります。食べない状態が続くなど明らかな異変がある場合は、早めに動物病院へ相談してください。